本日インタビューするのは、報道機関専属ハイヤードライバーの三ツ木さんです。早速ですが、お仕事内容を教えてください!
報道機関専属のハイヤードライバーの仕事は、記者さんやカメラマンさんを、事件や事故の現場、選挙活動、著名人の冠婚葬祭、取材など、ニュースが生まれる場所へお送りすることです。「至急●●へ行ってください!」など緊急度の高い案件が入る場合もあり、手に汗握ることもしばしばです。
緊張感のある仕事ですね!
ハイヤードライバーの待機所にテレビが設置されているのですが、事件が起こった時などは緊張感が走ります。いつ自分が呼ばれてもいいように、事件現場までの経路を地図で確認して、更に同じ会社の先輩からもアドバイスをもらいながら情報収集します。
報道のハイヤードライバー!という感じがしますね。
たしかに実際現場に到着すると、報道各社のハイヤーやテレビ局の中継車などが集まっていて、まさか自分がこんな仕事に関わることになるなんて・・・と思います。
そもそも三ツ木さんは、どうして報道機関専属ハイヤードライバーになったのでしょうか?
実はハイヤードライバー職に応募した訳ではなかったんです。最初は百貨店と駐車場を往復するシャトルバスのドライバーとしてケイエム国際株式会社(国際自動車グループ)に入社しました。
2ヶ月ほどシャトルバスを運転した後に、上司から「一般企業の社員を支店まで送る往復の仕事があるんだけどやってみませんか?」と声をかけていただきました。ステップアップになるかなと思って引き受け、1年半ほど往復運行の仕事につきました。
この時点でもまだハイヤードライバーではないですよね?
そうなんです!そこからさらにステップアップしたいと思い、上司に「ハイヤードライバーの仕事をやってみたいです」と相談したんです。
挑戦し続ける姿勢が素敵です。報道機関専属ハイヤードライバーになってからはどんな1日を過ごしていらっしゃるのでしょう?
案件によって毎日タイムスケジュールが異なるので、コレ!とは言えないのですが、ご参考までに紹介しますね。
08:50 | 出勤 | 東雲営業所に到着し、9:00には出庫します。 |
---|---|---|
朝10:00 | 仕事スタート | 報道機関に到着し、指示があるまで待機します。 |
午前 | 写真部のカメラマンさんをお乗せして兜町の証券取引場界隈まで行ったり、政治部の記者さんを国会までお送りしたり、経済部の記者さんを財務省までお送りしたりと目的地は様々です。 | |
お昼 | ランチ休憩 | ランチは報道機関の食堂で食べたり、コンビニで簡単に済ますこともあります。 |
午後 | 各記者さん達の担当する取材先までお送りするのがメインですが、報道機関の管理職の方や役員さん達を商談先などにお送りすることもあります。 | |
夕食 | 夕食も報道機関の食堂で食べたり、コンビニで済ませたりします。 | |
夜 | 各記者さん達の担当する取材先に向かいますが、夜は数カ所まわることが多いです。 数時間張り込んだりすることもあります。 |
|
深夜 | 宅送 | 記者さん達をご自宅までお送りします。 |
深夜1:30頃 | 全ての業務が終わり、運行伝票の入力をして営業所に戻ります。 | |
深夜2:30頃 | 帰庫 | 洗車などを済ませ仮眠します。 |
え!けっこうハードじゃないですか!?
そう見えますけど、実は待機時間がかなり多く、運転時間は短いので、そんなに疲れないんですよ。休憩もちょこちょこありますし。体力に余裕がある時は、「朝駆け」といって、朝に仕事をしてから帰宅する場合もありますしね。
なるほど!ハイヤーの仕事は最初からスムーズにできましたか?
いえいえ!地理の知識が少なかったり、記者の方とのコミュニケーションが上手にできなかったりで、迷惑をかけてしまったことが何度もありました。特に覚えているのが、朝に記者の方をお送りした時です。車内で待機していると、通学時間帯の通学路だったため、学生さんが沢山歩いてきました。邪魔にならないように記者の方が降車された場所から少し離れた所に車を停めて待機していたんです。すると戻ってきた記者さんから「もっと側にいてほしかった」と言われてしまって。
そういう場合はどうしたら良かったのでしょうか?
もっと事前にすり合わせをしておけば良かったのだと思います。記者の方のご要望に従うのも大事ですが、停車場所については他の通行人の迷惑になってはいけないので、しっかりとコミュニケーションをとって最適な場所をご提案できれば良かったですね。記者さんも急いでいますから、一瞬の判断の連続なんです。同じ失敗を繰り返さないように、一つ一つの経験を大事にしていきたいと思っています。
三ツ木さんが仕事をする上で心がけていることなどあれば教えてください。
お乗せしている方がどんな気持ちでいるのかを常に感じ取ることです。急いでいるのか、ゆっくりしたいのか、お話したいのか。車内で快適に過ごしてもらうために私に何ができるのだろう?と常に考えつつ走るようにしています。
気遣いの心が問われる仕事ですね。
そうかもしれませんね。ですが、同時にとても楽しい仕事でもあるんですよ。何度かお乗せした記者さんに、家族の話を共有していただいたり、「運転が安定しているね」と褒めたいただいたり。信頼関係が深まったのかな?と嬉しくなりますね。
そういった部分にやりがいがあるんですね。
他にもありますよ。例えば、目的地を指示された時に経路が頭の中で映像でパッと浮かび上がってくる瞬間があるんです。思い描いていた経路でスムーズに送迎ができた時はとてもやりがいを感じます。もっと多くの方の役に立てるように頑張り続けていきたいと思っています。